究極の米焼酎を造るぞ!Project

2001年3月20日、4月5日 

仕込、蒸留

 

 

3月20日。
この日は踊りの日です。
踊りというのは、酒母が出来たあと本格的な仕込をしますが、最初の仕込である初添(はつぞえ)の翌日のことです。この日は仕込はせず、酵母の純粋培養を目的とします。
踊りの翌日が仲添(なかぞえ)といって、2回目の仕込、その翌日が留添(とめぞえ)で3回目の仕込となります。

 

(もろみ)

前日が初添だったので、その翌日の踊りの状態です。

(こうじ)

踊りの翌日仲添のために準備してある麹です。麹蓋で造った麹で、塗破精にならず、きれいに食い込んだ素晴らしい麹になっています。
甘味も出ていて、栗の香りもあって、理想的です。

仕込タンク

清酒の酒母を造るタンクを使って少量の仕込をしました。
あとは、順調に麹と酵母が働いてくれて、良い醪になってくれるのを祈るばかりです。

 

 

 

4月5日。
これまでの醪のデータをグラフにしてあります。
日本酒度は通常、醪日数の浅い頃はボーメ度で表示し、ある程度切れてくると日本酒度で表すのですが、ここでは、最初から日本酒度で表示してあります。
参考までに、ボーメ度1は、日本酒度−10です。

 

 

醪日数15日目で蒸留をしました。
グラフでは14日目までを表示してあります。
グラフで見ると解りますが、最終のデータは、
醪品温 10℃
日本酒度 +11
アルコール度数 18.4%


 

 

醪タンクの外観

醪の温度上昇を抑える目的で、タンクのまわりに、ホースを巻きつけて水を通し、温度管理をします。

蒸留直前の醪の様子

原料米の山田錦はよく融けています。
醪を利いてみると、甘酸っぱい良い醪になっていました。
吟醸酒の醪とは味が違いますが、飲んでも美味しい面白い味に仕上がっています。

蒸留器

仕上がった醪をホースで蒸留器に入れているところです。
茶色のホースが見えています。

蒸留開始

いよいよ「天の狼」の蒸留を開始します。
写真は、蒸留器の圧力です。
針が52を指していますから、52cmHgの圧力になります。
普通の減圧蒸留は、真空状態に近い70cmHgくらいで行いますが、天の狼は、少し高い圧力で行いました。

蒸留時の醪温度

蒸留圧力を通常より上げていますから、醪の温度も高くなります。
圧力が下がると、沸騰する温度は下がり、圧力が上がると、沸騰する温度が上がります。
天の狼は、写真のように71℃です。

蒸留直後の原酒

蒸留後タンクに原酒を入れて3ヶ月ほどこのままの状態でおきます。
ガスがたくさん含まれているので、これがぬけるのを待ちます。
7月頃に、カメに入れて穴倉へ貯蔵します。

 

参考資料
蒸留直前の醪温度 10℃
蒸留開始時刻 4月5日午前11時35分
蒸留終了時刻 4月5日午後 1時40分
初留のアルコール度数 72.8%
末垂れカット時アルコール度数 20.5%
垂れ総量 43%換算 177リットル
平均蒸留醪温度 70℃

 

私にしては早起きの8時起床で、小松酒造さんまで出掛けました。
予定通り午前11時少し前に到着し、蒸留に関しての打ち合わせの後、天の狼の醪を蒸留器へポンプを使って入れます。
醪が全部入ったら、蒸気を出して醪を温めていきます。
その後、真空ポンプを回して、蒸留器内の圧力が50cmHgになるよう調整し、その状態を保持すると、醪温度が65℃くらいで垂れが始まりました。
早速、初留をサンプリングし利いて見るとエステル臭があるものの意外と柔らかい感じで、甘味が出ていて質の良い焼酎になる予感。
この時点でのアルコール度数が72.8%とかなり高めで、つい笑みがこぼれます。
途中、真空ポンプを操作して、圧力を調整しながら、午後1時40分頃末垂れを利き酒してみると、味がなくなってきており、雑味が出始めてきたので、ここで蒸留終了としました。
末垂れアルコール度数が、20.5%と高めなので、もう少し蒸留すれば、量も増えて良いのですが、酒質を重視して造る「天の狼」としては妥協をせず、あっさりここで蒸留終了。

蒸留した原酒は、タンクの中に入れて、含まれているフーゼル油を網で掬いとります。冷えてくるとフーゼル油は浮いて出てきます。
このまま3ヶ月ほどタンクに入れておき、ガスが抜けるのを待ち、7月頃穴倉へカメにて貯蔵です。
1年後利き酒してみて、納得いく熟成が行われていれば出荷。まだであればもう1年おきます。

 

 

バックナンバー

2000年12月 「天の狼」Projectについて
2001年 3月 酒母仕込

 

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