2000年9月8日更新

 

 

 

「帰去来」は「さあ、帰ろうか」、「あしくと」は「悪くても」。
掲句は別に、

 故郷や酒はあしくとそばの花

の形で記されてもいる。
蕪村は、摂津国毛馬(けま)村の生まれ。
十七歳頃に故郷を出て以来、一度も帰ることはなかった。
毛馬村は淀川左岸にあたり、そばが名産とも思われない。
蕪村のいう望郷の地は、いったいどこなのだろうか。

安永三年(1774)蕪村五十九歳

参考 
與謝蕪村集 新潮日本古典集成
      新潮社

 

 

 

iroha01-1.gif (32794 バイト)

 

 

1982年 TBSブリタニカ



 

 

 

 

 

 

カメの恩返し!

 

河村邦比児

 


 

 

 


 

 

ある夜。私が帰宅するのを待っていたかのように妻が恐る恐る足元を指さした。ビニール袋を覗くと、甲羅の大きさ15センチ四方はあると思えるカメが右肩付近をパックリと割り血を流している。血が大嫌いな妻なのだが、「車で通り掛かったらうずくまっていた。可哀相だし、保護してきた」という。

 翌日、近くの動物病院で応急治療を受けて帰ってきたが、ボンドで負傷部位を接着させガムテープで止めた痛々しい姿。その日から妻には新たな世話が加わった。

 水を与え、ペットショップで餌を求め、側を通るたびに「カメちゃん」と声を掛ける。子どもたちも関心を持ち、20歳を過ぎた娘までが「へぇー、カメの足の伸び縮みは不思議だね」などと新たな発見をしている。

 ところで、このカメには後日談がある。近所の散歩仲間が、「実は先日、家にカメが現れたが、おふくろが処分しろというので近くの川べりに置いて帰ってきた」という。
 さらに日を同じくして、妻の知人が「夜、車で走っていて、何かを踏んだ気がした。同乗していた息子が『さっきのはカメじゃなかった?』というので、慌てて元の場所に引き返したが、もう姿が見えなかった」。

 妻を接点にしたそれぞれの話だが、実は我が家とカメを保護した場所との間は約百メートル。しかも2人の話もその付近に集約される。同じカメと思うのが順当なようだ。

 嘴にこぶをこしらえ、縁側に飛び込んできた鳩、用水の清掃中に保護した燕のヒナ。その都度、動物病院に走り、鳥獣保護センターに連れていった。いつも妻の役目だ。ヒナは子どもたちの目の前で飛翔の稽古をさせている時、文字通り、「雲に入って」しまい、ひんしゅくを買ったが、妻は「きっといいこどがあるよ」と意に介さない。「動物を飼うのは情操にいい」という。妻にも言えるようで小言も幾分減った気がする。家族にとっては「カメの恩返し」といったところだ。



著者近況

河村邦比児

俳句をいろはさんに 酒をご主人の加藤さんにそれぞれ指導いただいております。十日には初物の土瓶蒸しを食べましたが、直ぐに季題として句作に迫られ、味わいの半分も伝えられず汗顔のいたり。五感すべてを動員しなければと痛感しました。50歳。

 



 

葉月 某日  こだわりの焼酎を飲む会

”座・酣々”の「吟醸酒と料理を楽しむ会」の番外編としての企画だったのですが、当初、6〜7人くらいでの予想が、なんと結果的には17人となりました。

今回は、入手困難なものが7割、残りの3割は、私達夫婦のアンテナにひっかかった収穫品の計13本です。

まず、八丈島の麦焼酎「島の華」で乾杯。
Aさん(うら若き女性)は、この日の為に、焼酎を飲む練習をしてきたとか。ともかくも、焼酎は効くのです。
でも、これだけの種類、なんとかみんな試してみたいという気持ちは当然ですよね。

今後の参考にと、皆様の「ベスト1」から「ベスト3」までをお聞きしたのですが、本当にさまざま。こだわり方がそれぞれ違うのです。

例えれば、焼酎はジャズ、吟醸酒は、すでに形ができあがっているクラシックのようなものでしょうか。
だからアドリブあり、裏技ありの焼酎イコールジャズ。
焼酎はまだまだ進化していきそうな予感がしています。

それにしても、ぶっつぶれてしまったBさん(うら若き男性)、デザートの他ぼたもち2個食べて、そのうえおみやげのぼたもち1個を、ちゃんと握りしめていたあなたはエライ!
(飲み過ぎたなと思ったら、身体の為に甘いものを摂りましょう。糖分は、アルコールを分解するグリコーゲンをつくります。)

 

      

 

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